• テキストサイズ

【彩雲国物語】彩華。

第10章 彩稼。


 「母上は、旺季殿を⋯許し愛した人でもあるんだよ。」
 「で、でもどうやるのですか?父様や劉輝兄様にバレたら怒られてしまいます」
 「怖いのか?」
 蒼姫はまゆを釣り上げていいえ!と言う。
 にっこりと微笑む姿は母ににてきていた。
 意地っ張りなところ。
 頑固なとこは父に似たのか母に似たのか。
 「では、私少々旺季殿の小姓をして参ります」
 ぺこりと頭を下げて珠翠を探す。
 その光景か少し、懐かしく思えた。
 小さく吹き出し去る姿を見つめた。
 「母上も、同じだった」
 父が言っていた。
 
 お前を王にはさせないと千代が言ったと、ただ一つ駄々をこねたから劉輝が王だと。
 千代は勝手して後宮を火に包んだと。
 
 負い目で愛したのかと思った、けれどあの人は本当にちゃんと、愛していた。
 可愛い子可愛い子、私の可愛い子と、照れくさくなるぐらい。
 愛してくれた。
 
 「蒼姫、お前は母上は愛されない恐ろしさをよく知っているんだよ、だから、お前は母上以外には愛されるよう仕組まれたんだろうな」
 
 栗花落様は言う。
 戩華に望まれたと。
 父は蒼姫を愛していた。
 そこに彼女が居場所を見出せるように。
 現に父に愛されている事を彼女は理解している。
 けれど、母の愛を望むのは⋯きっと、その父に似てしまったからだろう
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 栗花落が飛び起きて報告してきた。
 「戩華、蒼姫が旺季の傍をちょろちょろしてるらしい」
 眉間にシワを寄せていた。
 「ほっておけ」
 「⋯わかってる、けれど、最近の蒼姫の行動は不可解だ」
 「⋯⋯確かに⋯だが、気にするほどの事ではないだろう」
 「⋯⋯⋯」
 栗花落は少し不安に思う。
 いや、胸が苦しくなる。
 千代がいつもそうだった。
/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp