第10章 彩稼。
「母上は、旺季殿を⋯許し愛した人でもあるんだよ。」
「で、でもどうやるのですか?父様や劉輝兄様にバレたら怒られてしまいます」
「怖いのか?」
蒼姫はまゆを釣り上げていいえ!と言う。
にっこりと微笑む姿は母ににてきていた。
意地っ張りなところ。
頑固なとこは父に似たのか母に似たのか。
「では、私少々旺季殿の小姓をして参ります」
ぺこりと頭を下げて珠翠を探す。
その光景か少し、懐かしく思えた。
小さく吹き出し去る姿を見つめた。
「母上も、同じだった」
父が言っていた。
お前を王にはさせないと千代が言ったと、ただ一つ駄々をこねたから劉輝が王だと。
千代は勝手して後宮を火に包んだと。
負い目で愛したのかと思った、けれどあの人は本当にちゃんと、愛していた。
可愛い子可愛い子、私の可愛い子と、照れくさくなるぐらい。
愛してくれた。
「蒼姫、お前は母上は愛されない恐ろしさをよく知っているんだよ、だから、お前は母上以外には愛されるよう仕組まれたんだろうな」
栗花落様は言う。
戩華に望まれたと。
父は蒼姫を愛していた。
そこに彼女が居場所を見出せるように。
現に父に愛されている事を彼女は理解している。
けれど、母の愛を望むのは⋯きっと、その父に似てしまったからだろう
栗花落が飛び起きて報告してきた。
「戩華、蒼姫が旺季の傍をちょろちょろしてるらしい」
眉間にシワを寄せていた。
「ほっておけ」
「⋯わかってる、けれど、最近の蒼姫の行動は不可解だ」
「⋯⋯確かに⋯だが、気にするほどの事ではないだろう」
「⋯⋯⋯」
栗花落は少し不安に思う。
いや、胸が苦しくなる。
千代がいつもそうだった。