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【彩雲国物語】彩華。

第10章 彩稼。


 「だから結界を張っていた、貴様に会わせぬ為、千代が死を選ばぬよう、こんな場所で細々暮らしていた!!!」
 「戩華⋯⋯つぎも⋯がんばるから」
 「まだ、この娘に次を与えたのか、貴様は」
 「瑠花?お前はさっきから」
 「何処までこの娘を⋯生かし扱き使う⋯もうこの娘の身体はとうに、死んでいるというのに」
 座り込むと涙を流し見つめていた。
 むくりと、光の塊は起き上がり瑠花を包む。
 「姫様、あなたの優しさにいつも支えられたの⋯姫様⋯愛してるわ次で会いましょう」
 
 ────────次?
 
 泡のように消えた光に瑠花は手を伸ばす。
 その場に残ったのはさっきまで着ていた寝巻き。
 瑠花の嗚咽する声が響き侍女が姿を現す。
 その光景に何かを察したのか、座り込み泣きじゃくっていた。
 確かに今、ここにいた娘が消えた。
 
 それ以外、何も状況を把握出来ずにいた。
 
 「瑠花姫様!!!蒼姫姫様が!蒼姫姫様がお戻りになりました」
 
 瑠花ははっと、起き上がり怒鳴る。
 「持ってきているのか!?」
 「わかりませんが、ただ、母に会わせろと蒼白したご様子です」
 「あの子は⋯唯一、千代の娘だ⋯忘れ物だ⋯⋯⋯敏いのだろう」
 「千代の娘?あれは、俺と栗花落の娘だ」
 戩華の声に瑠花はわなわなと震えて出ていけと部屋から追い出す。
 「この屋敷を調べたいなら調べろ、貴様と戯れている時間は無駄でしかない。よくも、妾の娘を死なせたな、許しはせぬ」
 「────え?姫様⋯?かあさまは?」
 その声にに瑠花は振り返る。
 静蘭と蒼姫は目を丸くしていた。
 「なぜ、父様が?る、る、瑠花姫様、結界が⋯あの、結界は?」
 「母は⋯母上はどうなさったのですか、瑠花様!!」
 頭が真っ白になっている二人。
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