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【彩雲国物語】彩華。

第10章 彩稼。



 「おや、起きていたのか」
 「ひめさま、おたわむれ、ですか⋯」
 「なぁに、お前の武勇伝でもと思ったのじゃがな」
 「うそ、せんかが、どうとか、いって、いらした⋯でしょ」
 こらこらまだ休んでいろと薔薇姫に枕に戻される。さぁあっちに行こうと、秀麗と劉輝の肩を掴んで部屋を出ていくのを見て邵可を睨んだが、邵可も気になるのかソワソワしていた。
 「つゆりさま⋯あの方を⋯」
 「なら、どうして戩華に怒ったのか教えてくれるかい?」
 「私も気になるんですが」
 千代はくらりくらりする頭。
 「⋯⋯せんか、が⋯さいきんねむれない、のは、よとぎがないから、だと」
 ぶちっぶちっ。
 「わたし、あてのふみを、かくして、いたのと、で、すこし、おこって⋯⋯」
 千代は力尽きたのかくーくーと眠りに入っていた。
 思ったよりもどうしようもない我儘が理由だった。今度会ったら絞めようと二人は心に誓う。
 栗花落は慣れたように千代の看病をしていその様子を見て邵可は、ただ目を閉じた。
 そんな身体になる事が妃の勤めではないと知りながらも、ただ、ただ、苦しかった。
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