第7章 彩駆。
旺季をとっ捕まえ、案内させると、琵琶の音が聞こえた。
「悠舜音外れてるわね」
「⋯千代姫」
「⋯ん?」
ごろりと、千代の膝に頭を置き腰に抱きつく悠舜。旺季も目を見張った。毛嫌いしているのだと思っていたから。
「このお腹には何もいないんですね」
「最初から何もいませんよ」
「⋯⋯女の子だそうですね」
「?」
「千代姫様と王様に似て愛らしい子でしたよ。」
「??なんの、こと?」
優しく髪を撫でる仕草に王は歯ぎしりをした。
「貴女に似た赤い瞳で笑うのかと思えば私はとても愛おしいですけどね」
「⋯?誰の話をしているの?」
「貴女の鎖の話ですよ」
「悠舜は時々よく分からない話をするのですね」
くすくすと笑う千代を見上げて頭を撫でる。
「貴女は頑張り過ぎです。自分にどれだけ嘘をつくんですか?」
千代は目を丸くして優しく微笑む。
悠舜を膝に乗せ抱きしめ頬にキスをしていた。
「悠舜、私は皆を愛しているわ。愛しすぎて全部私のものにしたくなったの。でも、それは出来ないから、護ることに決めたの。だから、後悔は一度もしていないの。私に子供は居ないわ⋯あの子は⋯栗花落様と王様の娘ですよ」
「なら、、僕が息子になってあげます」
「まぁ、嬉しい。なら悠舜早く私に孫を見せて下さいね」
「なっ!?」
「悠舜⋯⋯いい子よ、意地悪で誰より心優しい子。」
居心地良さそうにする悠舜。
知らなかった、仲が良かった事を。
カタリと、王は音を立てて部屋に入る。
悠舜をぎゅっと抱きしめボソリと何かを言うと驚いたように部屋を旺季と後にする。