第7章 彩駆。
主上はふと彼女にどう思われたのだろうと、ちらりと、栗花落を見る。下唇を噛み締めていた。
視線が交わると、お言葉に甘えてと言い何故か引っ張り出される。
「お前は本当に⋯⋯本当に⋯はぁ」
ため息をつく栗花落。
部屋の中を覗くと涙を流しながら劉輝を抱き抱える妃。
「何でこうなったんだろ、千代が妃に来て私はとっても嬉しかったんだ、何故かわかるか?お前が選んだ事が、お前が一人の女を傍にと言ったことが⋯嬉しかった」
「あの女に出会って変わったことなど何も無い」
「そうだろうね、けれど、お前は誰一人幸せに出来ない男だね、そうさせるのは私なのかな」
「⋯⋯そうなのか?」
このずるい男に涙があふれる。
嫌いになれたら⋯
毒の件から暫くすると、相変わらず千代の元に通っていた。
辞めろと言えば一週間後には辞めていた。
それに何処か安心していた。
まだ話を聞いてくれると。
まだ、自分の妃だと。
元のようにただ、妃が待つ部屋に足蹴く通った。
理由なんてただ一つ、彼女の気持が心に少しでと長く留まりたかった。それが出来る王の手段がただ、夜伽をする事しか彼は知らなかった。