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【HQ東】君の相手をこの俺に

第5章 最後の思い出2


「東峰が燃えてる····」
「本当にな。」
「名の威力よ」
名のおかげでやる気が満ちる。あの梟谷の木兎の様に周りに影響するタイプなのかもしれない。そして、昼休みの時間。
「名来なくない?」
と言う清水に
「確かに」
「まぁ、その内来んべ」
と放っておけば、家庭科室から体育館に来るまでにかかる時間を過ぎ、購買で並んだとした時間も過ぎ、周りがご飯を食べ終わりだしても来る気配はなく。集中して気づいてないのかと東峰が思っていると
「東峰。見てきてあげて」
「え、俺?!」
「いいから」
「え~」
清水の流れにのって澤村達も背をおす。
「はぁぁ」
とため息をつきながら渋々校内に向かう東峰。いつもより人が居ない静かな校舎。タスタスと上履きの音がよく聞こえ、夏が終わりだす昼下がりに廊下がまぶしい。そして、家庭科室が近くなるにつれ響くけたたましく鳴るミシンの音。その音はガラッと戸をあけるのと同時に止まり
「あれ?東峰」
「おー。開くの気づけるならチャイムも気付けー」
驚いた顔をして時計を見て慌てる名に
「もう皆食べ終わっちゃったぞ」
「えー、まじかー。残念」
全然気付けなかったと、他の机にお弁当を広げる名。てっきりドレスを縫っていると思えば作業台に広がる色は黒一色。後ろの方に、ほとんど完成している名のドレスが飾られていた。
「夏休み明けたらだな」
と東峰はそれには触れず、隣に座り、はっとして馴れ馴れしかったかな?と名を見れば少し不思議そうにこちらを見ているので
「昼休み終るまでな」
と言えば
「ありがとう」
と嬉しそうにする顔に安心する。それから午前中はどんな練習をしただの、何をしてただのなんてことない話をして、いつもいる外野も無しに、静かだが心地好い時間だと東峰は思った。
「そろそろ行くわ」
その時間はなんだか集中力が高まる感じで、行ってらっしゃいと名に見送られながら、また静かな廊下を戻っていった。
「東峰おせーぞ!気をつけろ!」
「す、す、すすみませんっ!」
時間通りすぎて注意されながら体育館に入り、アップを取った。
「名どうだった」
「あぁ、夢中になってた」
やっぱりかーと笑う菅原。
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