第4章 最後の思い出1
二人にバシバシ叩かれ
「名が居るからミスった、とかないようにね」
と最後の〆は清水の言葉で、内心名のおかげで集中が切れたらと言う不安は本当に吹き飛び、むしろ、森然や音駒のメンバー達に嫉妬もしたりで気合いが十分入った休憩時間。
バシッーーー!!!
おかげでその後からは調子が良く
「おー怖っ」
と黒尾がにやつく程。しかし、負け続けには変わりなく、その日もへとへとで1日が終わる。名は相変わらず烏野には寄ってこず、少し寂しく思う東峰に対して他校の生徒とはしゃぐ名の様子に
「俺も違和感!」
と菅原、
「ホント、代弁しなくていいから。」
と切なげに菅原に伝える。東峰の知る名は時間がおしくて仕方ない感じで居るのが当たり前だったが
「ご飯行きた~い」
「しーさん片付けまだだよ!?!」
「雪絵、他校のご飯だからテンション上がってるんでしょ」
「さすが雪絵ちゃん」
と女子達の輪に居る名の姿を見て、意外な一面を見た気がした。それを眺める横で
「名、見た試合の記録全部とってあるの。他校が毎年どんな感じかとか全部。」
すごいよと言う清水に、強豪ばかりを目にしている名相手ならなおのこと気合いを入れねばと改めて思った。
「今日も居残り練?」
するとすぐ後ろで名の声がして
「うわっ」
と驚けば
「驚きすぎでしょ」
と笑っている名
「シンクロ攻撃の練習?」
「あーやっぱ分かるか」
「そりゃ森然の練習みてきてたから」
そうかと少し恥ずかしめに言えば
「小鹿野達も最初から出来てた訳ではないし、練習の仕方は違うけど東峰達のはものになるよ」
とふふんと笑う名の目は冗談で言ってる感じはなく
「でもってあのブロッコリーをみじん切りにしてしまえー!」
と笑う。近くでは小鹿野達がこちらを見ていて焦る東峰。
『ものになる』
清水が言った事が本当ならば名に見る目はある。その名が言うならと自信がついた。
「名ー、ボールあげてくれー」
「えー」
「良いから頼むー」
文句を言いつつもニコニコと夜久のもとは向かっていった名。
「あれ?旭何か良いことあった?」
「え?ないない。ないよ」
「いやいや、隠せてないから!」