【HQ】岩ちゃんが男前過ぎて今日も私は死にそうです
第2章 女の子
岩ちゃんと肩を並べ走った。流石強豪校のエース。走るの速いし、呼吸も全然乱れてない。
「大丈夫か?」
「うん!もう少し速くても大丈夫!」
それを聞いた岩ちゃんは少しだけペースを上げた。
「ほら。」
「ありがとう。」
自販機で買ったスポドリを公園のベンチに腰掛けて飲んだ。こっちは汗だくなのに、岩ちゃんは涼しそうな顔をしてる。いくらスポーツが得意でも、男と女じゃスタミナの差がある。悔しいな。
「いつも走ってんのか?」
「んー…まあ、大体。部活入ってないし、基本暇だからね。」
「勿体ねーな。なんで部活入んねーんだよ?」
「スポーツ全般好き過ぎて一つにしぼれなかったんだよね。あれもやりたいこれもやりたい、全部好きだから決められないって、だから楽な道選んだんだよね。…けど、岩ちゃん達見てたら私も部活やっとけば良かったなーって思った。一つの目標に向かってチーム一丸となって…って、凄く憧れるし、凄く眩しく見えた。」
「好きな事が沢山あるのは別に悪い事じゃねーだろ。寧ろそんなに好きなものがあって、それが全部得意なのはスゲー事だろ。」
「あー…岩ちゃんってズルいよね。」
「何がだよ。」
岩ちゃんの言葉はいつだって真っ直ぐで、私の心を救ってくれる。男前っていうのは岩ちゃんみたいな人の事を言うんだろうな。カッコいいとかもうそういうの超越してる気がする。
「前、知れば知る程私のいい所ばっかり見えてくるって言ってくれたでしょ?私も同じ。岩ちゃんと一緒にいると岩ちゃんのいい所ばっかり見えてくる。だからね、私もっと岩ちゃんの事知りたい。もっと仲良くなりたいって思ってる!」
自分で言っといて凄く恥ずかしくなって、それを誤魔化す為に笑うと、岩ちゃんも笑った。
「ありがとな。」
はにかむように笑うその顔を見て岩ちゃんを好きって気持ちがどんどん溢れてくるような気がした。岩ちゃんを知れば知る程もっと岩ちゃんの事を知りたくて、傍にいたいって思う。
「そろそろ帰るか。送ってく。」
二人で歩く真っ暗な道。星以上に岩ちゃんがキラキラ輝いて見えた。