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よるがあけるよ

第6章 目覚め


「まぁ、実際はブラックボックスは停止しておらず信号を送る機能のみが壊れていた、ということでしょう。ピンポイントでそんな事が出来るかどうかは知りませんけど、他にあるとしたら……」
脱走兵を増やさない為にもこの事例は表沙汰にしない方が良い、と途中で呟きながらも27Sは現実味のある可能性を次々と思い付く限り挙げていく。
さすがはメンテナンス担当なだけあって、機体の仕組みについて詳しい。
一方10Dは己の構造を全く理解しておらず、27Sの考察をぼんやりと聞き流していた。
ブラックボックスが破壊されたり、義体の中心部が大破したら死ぬ。戦う上で知っておけばいいのはこの程度だ。義体をどう弄くればどうなる、なんて話は他人事と同じように思えていた。
「……よし、完了です。僕はサーバー室に戻るので、何か不具合があったら言いに来て下さい」
『ありがとう、今のところ良さげだよ。』
手をグーパーしながら10Dが答える。
部屋を出ていく27Sをベッドに座ったまま見送ると、入れ替わりで14Oが入ってきた。
自然な動きで10Dの横に腰掛ける。
「10D、次の任務について司令官から通達がありました。暫くの間はまた物資の収集をメインに活動を続けてほしいとの事です」
『わかった。もう地上降りた方がいい?。』
降格されたような気分になって、14Oに対して少し申し訳無く思った。
与えられた任務は殆ど達成させてきたが、最近は立て続けに余計なことをしていたから「大人しくしろ」ということなのかもしれない。
『やっぱり資源回収とかが分相応なのかなぁ……。』
「気を落とさないでください。収集活動だって重要な仕事ですよ。それに比較的危険の少ない任務ですから、私は安心してあなたをサポート出来ます」
慰める14Oの肩に項垂れた様子の10Dが凭れかかる。
『そりゃあ、なるべく危ない目には遭いたくないよ。でも頼りにされなくなるのも、ちょっとね。』
「頼られなくなった訳ではありませんよ。緊急時は討伐の要請を出す可能性もあるそうですし」
『本当かなぁ……。』
凭れ掛かった体勢から更に傾き、肩から滑り落ちるように10Dは横たわった。
「ほら、起きてください。仕事が待ってますよ」
10Dの頭を撫でて宥める14Oが地上に降りるよう促す。
『まぁ、頑張るよ。少し前に戻るだけだし……。』
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