第2章 本性
いつも通り、チャイムのなる五分前、遅刻ギリギリに学校へ到着する。
「美優、おはよー!!あ、あと皐月くんも。」
「ふーちゃんー!おはよ〜!!」
「…」
紹介が遅れたが、ふーちゃんこと、葛西風華は私の大親友。小学校の時からずっと一緒で、皐月とはまた別の幼なじみ。
なのだが、家が全くの真逆にあるため、一緒に通うことができない。残念。でも、ふーちゃんはいつも、私のことを下駄箱で待っててくれている。優しい、好き。
「もー、皐月も挨拶しなよー。あれ」
むーっと少し大げさに頬を膨らましながら下駄箱の扉を開けると同時に、一枚の手紙が落ちてきた。
「あー、また皐月の下駄箱と間違えてるよー…はい、あげる。」
明らかに機嫌が悪くなった皐月の手に手紙を押し付ける。
「じゃあ、今回もちゃんとお返事しないとだめだからねー!いこ、ふーちゃん」
「あ、うん」
有無を聞かずにそのまま教室へ向かう。そのとき、皐月が鋭い目で手紙を見つめていることに、私は気が付かなかった。