第10章 素直な感情
誘われたからと口実が出来たので中に入って山口の隣に座る。
山口は少しあわあわしながら状況説明をしてきた。
「由佳ちゃんが、ここの前通ったら、パフェのサンプル見つけて食べたいって。今サンドイッチ食べて、パフェ食べてて…」
「…なんとなく状況が見えたからもう説明いらない。」
「ごめん!ツッキー!!」
「なんで山口が謝ってるワケ?由佳がワガママ言って山口は付き合わされたって事デショ?」
「えー!あたしワガママいってないよ!」
「そーゆーのをワガママって言うの。知らないの?」
「じゃあ、グッチー、ワガママに付き合ってくれてありがと!」
パフェを頬張りながら満面の笑みで山口にお礼を言っている。
山口は、オレは気にしてないから!!
と少し顔を赤くして、手をパタパタと振っている。
別に僕は山口に、自分の気持ちを伝えたことはない。
由佳が好きだということを。
それでも、山口は初めの時から由佳に関しては
何故か遠慮気味にしているふしがある。
三人でいるとよく二人で話しているんだけど、
二人っきりで話しているところはあまり見かけない。
実は苦手なタイプなのだろうか?
など、思っていると頼んでいないのに
イチゴのショートケーキとアイスコーヒーが運ばれてきた。
「蛍はそれで、よかったよね?」
と、由佳が柔らかく笑いながらそう言って。
初めて行った喫茶店で頼んだもの覚えていてくれたんだな。
と心がドキドキした。