第10章 素直な感情
由佳はちょこちょこと僕の後ろに隠れて
「なんで蛍助けてくれないのさ~!!」
と不貞腐れた顔をしている。
「本気で連れていかれるワケないデショ」
呆れた声で僕が言うと
「そーゆー問題じゃないもん!」
と随分今日はご立腹なようで、
「自分がいけないんデショ。あっちにまで良い顔をするから気にいられたんだし」
僕も思っていたことを素直に言うと
「え~!あたしはマネの仕事してただけだもん!じゃあ、蛍はあのまま拉致誘拐されても良かったって言いたいのぉ!?」
今日の由佳は
随分と自分の主張が激しく、真っ当な会話になっていかないので…
「ハイハイ。わかったわかった。次に拉致誘拐されそうになったら助ければいいんデショ」
由佳はこちらをじっと見つめながら
「約束だよ!!」
と強く言ってきた。
あんな風に拉致誘拐される事なんてまず無いと思うケド。
返事の代わりに由佳のおでこを
僕の手で少しクイっと押すと
由佳は満足そうな顔をして笑った。
ホント由佳はよくわからない事で
笑顔になったり、悲しんだり、不貞腐れたり。
忙しないな…でもそこが良かったりはするんだけど。
その日にメッセージを送った。
明後日は練習もないので…
【明後日、朝から時間ある?あるなら空けてほしいんだケド】
すぐにスマホがピコンと鳴り
【明後日、予定ないから大丈夫だよ( *´艸`)またスポーツ用品買いに行くの(^◇^)?】
違うケド、どこに行くかはまだ言いたくないし。
【違う。スポーツ用品店じゃない。とりあえず一緒に来てくれるといいんだけど】
奥松島まで桜貝拾いに行くなんて言いづらいから…。
それに桜貝があるかもわからない。
ネット情報を鵜吞みにしすぎるのは良くないし…。
【分かった(^^♪どこ行くのか楽しみにしてるね~(^_-)-☆じゃあ、おやすみなさい蛍!(^^)!】