第6章 左隣と君
ケーキを食べ終わり少しまったりとしていると
あっ!と一言つぶやく由佳が二つある買い物袋の一つからゴソゴソと袋を出して
「はい!これは蛍にプレゼントでっす!!」
と満面の笑みで渡してきて、少しびっくりして由佳がくいっと袋を押したのをワンテンポ遅れて受け取った。
「…。空けるよ?」
「どうぞ!!」
中から出てきたのは
緑から黄色になっていくグラデーションの
メイン色が黄緑色のスポーツタオル三枚と、
やはりグラデーションになっている黄緑色のドリンクボトル、
黒色の指サポーターが入っていた。
僕自身では選ばないタイプのモノなんだけど、
オシャレで持っているとセンスが良く見え、
それでいて僕が持っていても不自然ではない物だ。
僕のために選んでくれたのだろうか?
そうだとしたらかなり嬉しいんだけど…。
「…あり…と」
ちゃんと言わなきゃいけないのに恥ずかしくなって…
中途半端に出た言葉
それでも由佳はちゃんと拾ってくれて
「どういたしまして!蛍が嫌じゃなければ使ってください」
僕の方が嬉しいのに、由佳はずっと嬉しそうにしていて。
嬉しいのと同時にもう一つの袋が気になった…。
だけどその汚い感情を
自分がプレゼントされたモノたちを見て
冷たいコーヒーと一緒に一気に流し込んだ。
お互いに普通に会話が出来るようなって、
夕飯の話になり、結局ラーメンを食べて帰った。