第6章 左隣と君
部活が終わり、いつもの通り三人で帰った。
由佳は今日の事を誰にも言っていないみたいで。
それはそれで都合は良かったんだけど。
山口が遊びに行こうとうるさい。都合が悪いとは言ったんだけど、
由佳も誘って三人で~なんて言い出している。
ここ最近の山口は特にウルサイ。
それに助かるときもあるから何とも言えないところだ。
うまく言い訳をし、三人で遊ぶのはまた今度。と言うことで別れ
自宅に着き
自分なりにダサくなく、似合っていて、流行りを追いかけすぎてないモノを選んだ。
早めに行こうと思い支度し終えたらすぐに出たので、
想像以上に早くマンションに着いてしまった。
まだ当分出てこないだろうと思いながら音楽を聴きながら由佳を待っている。
気配を感じてそちらを向くと
白色のシフォンのフワフワしたワンピースにGジャンを組み合わせていて、とても可愛かった。メイクもナチュラルにしていて、髪もゆるくふわりと巻いている。
何時もよりキレイで大人っぽいのに、可愛いくて…。
ふと時計を見ると待ち合わせ時間より10分も早く由佳は来ていた。
それなのに僕は由佳よりさらに早く来ている。
それがすごく恥ずかしくなって
「遅いんだけど…。」
ってせめてもの照れ隠しで、文句を言ってはみたものの
由佳はただニコニコしているだけで。
「何、変な顔してるのさ?さっさと行くよ。」
さっきより少し強めの口調で言ってはみたけど、
由佳は、はぁ~い。とだけ返事をして、
定位置になりつつある僕の左隣りに来た。
由佳もその位置が落ち着くのかはわからないけど、
僕自身も由佳が左側にいないのは違和感を感じる。
そんな事を思いながら駅に着く。
田舎の、ましてや休日の昼間なので通学時みたな混雑はしていなく
二人とも余裕で座席に座ることが出来た。