第12章 熱の違い
梅雨に入り蒸し暑くなって来た。夏服の由佳もとても可愛い。
まぁ、思っていても口には絶対にださないけどね。
付き合ってから割と時間は経ったが、谷地さん以外から
付き合っているのかと聞かれることはなく
由佳は普段通りすぎて…。
由佳が周りの男子から好意の眼差しでみられる事も僕を不愉快にさせるのには充分すぎることだった。それは由佳が悪い訳ではないし、好意を持たれやすい事も分かっていたので何も言えない。
自分で聞かれたら答えればいいと言った癖に
部員に…クラス中に…全学年にばれてしまえばいい。僕のモノだと。
そんな思いが日に日に増していった。
今日の昼休み、山口が教室で待ってると言うので
由佳とふたりでジュースを買いに自販機に向かった。
その途中、先生に呼ばれ由佳に先に行っててと伝え
先生からの用事を手早く終わらせ僕も自販機にむかう。
自販機につくと見慣れた顔があった。
澤村さんと菅原さんそして見知らぬ女子…。
近づくと由佳が澤村さんに懐いてるという話だった。
少しイラっとしながら
「へぇ~由佳はキャプテンに懐いているんですか」
そう後ろから声をかけると由佳は振り向いて慌てて否定している。
そんな様子を見ていた見知らぬ女子が
「おー背高いねぇ!君もバレー部?一年でそれだけあるとすごいね」
…。マイペースで面倒なタイプの人だと判断し
「はい、一年のバレー部ですよ」
おうむ返しで答えると
「君もしや、この美少女マネちゃんの恋人だったりして」
その人は笑いながらからかうように言ってきた。
普段なら苛つくタイプの人間で関わらないようにするけれど今日はこの人に感謝した。
キャプテン達に…部内にバレればいい。そんな思いが僕を支配していたから。
「美少女かどうかは見る人によりますが、僕の彼女ですケド?」
聞いた本人もキャプテン達も驚いた顔をし、その後、キャプテン達に質問攻めをされたが
それらに答えるのは少々面倒とも思ったし
ふとある考えが頭に居座り…説明は由佳にほぼまかせた。