第12章 熱の違い
体育館に着いて三年が由佳と会うと
すぐにチョーカーに気づいていた。
「スゲーいい!由佳センスあるな!可愛いべ!」
「可愛いな!似合ってるぞ!」
「可愛いねぇ~!女の子がアクセサリー着けると雰囲気かわるよね」
「由佳…似合ってる。でもそれって…」
「皆さんありがとうございます!!潔子さん言いかけてどうしたんですか?」
「うぅん。なんでもないわ。また後で話しましょう。ドリンク作りに行きましょう」
「ハイ!」
三年生は流石に目ざとい…。
経験の差ってやつだろうか?
山口には余計な事を言うなとは釘を刺しておいたけど、
これじゃあ話さなきゃならないのも時間の問題だろうな。
と覚悟を決めた。
練習が始まりIHが近いからか、
みんなより熱気が増している。
由佳はそれが楽しいらしく
目をキラキラさせながら僕ら全員を見てる。
きっと自分が出来ない分を
僕たちに自分を映して見ているのかもしれない。
それから休憩の時に日向と田中さん西谷さんに
「その首輪カワイイな!」
「おう!首輪可愛いな!でも形が気に入らん!龍とかにすればいいものを」
「首輪で余計犬みたいになったな!」
と言われ、首輪じゃないと説明してるけど
理解はされてないようで、由佳も諦めていた。
経験より知能指数なんだろうか…?
褒めてるのか貶しているのかわからない言葉に
由佳も大変だな。と思いながら…。
学校が始まってからも由佳は
当たり前のようにつけていた。
女子達がカワイイ~!いいな~!と言うなか
「ありがとう」とニコニコしながら返していた。
誰も言わないし、聞かない
「誰かからプレゼントされたの?」と。
部活でも、見慣れてきてもやっぱりそれ似合うな!
なんて言われてるけれど
「誰から貰ったんだ?」とは聞かれない。
まぁ、好都合だけど。
由佳にはそんな相手いないと思われているんだろうな。
だから僕らはいつも通りの行動、
いつも通り二人だけでいてもなんとも思われない。
二人だけでジュースを買いに行っても、怪しまれない。
煩く騒がれるのは嫌いだから丁度いい。
隠してるわけでは無い、聞かれないから答えないだけ…。
聞かないでとは一言も言ってない。