第2章 隣だから
ガラガラと教室の引き戸が開く音がしてそちらをちらりと見ると爽やかそうな男子が入ってきた。所謂イケメンって部類のタイプだろう。
その男子は迷わず佐々木由佳の所へ向かうと
「少し話がしたいんだけど、一緒きてもらえないかな?」
「え?話ですか?話ならここでもできますよ!」
彼女はニコニコと答えている。
「いや…、少しでいいんだけど…」
「ごめんなさい、みんなとご飯食べるって約束してるので…」
「なら、連絡先だけでも交換しない?君の事もっと知りたくて…。」
彼女は少し困った顔をしながら
「連絡先交換はちょっと…すみません」
その男子はしょぼくれた顔で教室を後にした。
佐々木由佳の周りにいた女子達は、イケメンだったんだから連絡先位交換すればよかったのに!など騒ぎ立てている。
そんな女子達の騒ぎに、必要ないし、知りたいとも思わなかったから…。なんて言い訳している。
そんなやり取りをもちろん山口も聞いていたわけで、小声で話しかけてきた。
「由佳ちゃんってイメージよりガード固いんだね。ふわふわしてるから心配だったけど。」
「軽い女よりはいいんじゃない。」
「そうだね!」
そう言うと何故か山口はニコニコしていた。
「山口…なんで笑っているワケ?」
「え?なんでもないって!」
「あっそ。」