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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第6章 信頼



「地震!!?」
「マスター、手を!」
 アヴェンジャーに手を引かれ、そのまま引き寄せられる。それだけなのに、安心する。アヴェンジャーの手に触れた瞬間、冷静になれる自分がいるのを、確かに感じる。
 確かに地面は大きく揺れているが、これはただの地震なんかじゃない。魔術的干渉が原因の揺れだ。グラウンドの中央辺りを起点として、大きな魔力があることが分かる。いよいよ可視化できるほどになった魔力の渦は、どす黒い魔法陣を形成してゆく。そこから何かが這い出てきた。その光景は、『召喚』などと呼ぶには、あまりにも異様で、不気味だった。
「シャドウ・サーヴァント……?」
 見た目は、確かにシャドウ・サーヴァントそのものだった。しかし、それは形だけだ。アレらは、シャドウ・サーヴァントとは似て非なる、別の何かだ。黒い、濁った魔力を周囲に撒き散らしながら、天に向けて何かを叫んでいる。影は、ランサー/エリザベート・バートリーのようにも見えるが、よくよく見れば、『ランサー』タイプの霊基ではない。それどころか、基本7クラスのどの霊基パターンにも該当しないようだ。エクストラクラスにしても、然りだ。やはり、何かを無理矢理に繋ぎ合わせたかのような、無茶苦茶な存在だ。しかし、昨日見たシャドウ・サーヴァントとは、明確に異なる点もある。それは、この影は“さほど不安定ではない”ということだ。魔力も、はっきりと感じられる。エリザベートもどきからは、通常のサーヴァントには及ばないものの、それに及ぶほどの魔力量を感じるのだ。もしかしたら、魔力によって、チグハグな霊基だろうと、無理矢理安定させられているのか? 理屈はよく分からないが、この個体は、間違いなく“戦える”存在だ。

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!』
 エリザベートもどきが、苦しそうに、天に向かって呻き声をあげた。その声は、彼女本来の可愛らしい声とは程遠い、掠れた金切り声だった。そもそも、この声は、女性のものですらないだろう。いや、性別すらも分からない、魔物の叫びだった。

 でも、油断さえしなければ、充分に勝算のある相手だ。この様子では、宝具の真名開放など不可能だろうし、スキルを駆使した戦略的な戦闘を展開することもなさそうだ。それならば―――――


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