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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第6章 信頼


***

「酷い有様だね。」
「全くだな。」
 私とアヴェンジャーは、『未確認座標X-F 校舎跡』へとたどり着いた。
 校舎は損壊、所々に焼けた後もあり、もはや廃墟と呼ぶにふさわしい場所だった。しかし、それ以上に感じる、“負”の気配。この場にいるだけでも、その気配に圧(お)されそうになるほどの、強烈な感覚。先程から、背筋がゾクゾクとして、止まらない。足が竦む。明らかな敵意。呪い。恨み。これらを一言で言い表すとすれば、やはり“怨念”という言葉こそが、相応しいと思う。
「気を付けろ、マスター。心を強く持て。“呑(の)まれる”ぞ。」
 アヴェンジャーが、落ち着いた声で、私に注意を促した。私は、無言で頷く。
「このような場所は、本来ならば人間が立つには、些(いささ)か程度が悪すぎる。それほどのモノが、ここに渦巻き、お前を呑み込もうとしていると思え。」
 ものすごい言い様だと思ったが、アヴェンジャーの言葉は、そのまま真実なのだろう。それほどまでに、この空間は異様にして異質だ。踏み入れる者を悉(ことごと)く死に至らしめる、呪怨に満ちた空間――――それが、この『未確認座標X-F 校舎跡』なのだろう。

 それにしても、嫌な予感がする。――――いや、『嫌な予感』などという生易しい言葉では、到底表しきる言事が出来ない。これは―――――、言うならば、『死の予感』にも等しい、何か――――。

「!!」
 そう思った刹那、地面が揺れた。

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