第19章 第3部 Ⅴ
「予言だよ。」
「……?」
目的が予言? 意味が分からない。
「我が予言、お前たちは知っているか?」
「ぇ、えーっと……。」
内容までは知らない。
「あぁ、マスター。この男はな、2015年に、人類が滅亡すると、自らの著書で予言していた。」
「……!」
それは、人理焼却のことだろうか……!?
「しかし、その予言は外れた。カルデアと……、何より我が共犯者たるマスター。お前が、その先の未来を護ったのだ。それを、この男は気に入らないと、恐らくはその程度の話だろうよ。」
アヴェンジャーは、鼻で笑った。
「フン。予言などというモノは、得てして外れるものだ。それを、わざわざ特異点モドキを創り、我がマスターを殺してまで予言に沿わせようとするなど、狂気の沙汰以外の何物でもない。莫迦者の所業だ。
「黙れ! たかだか一作家によって描かれただけのお前に、何が分かる!」
ノストラダムスは、手に持っていた紙片を飛ばして、此方を攻撃してきた。アヴェンジャーは、それらの紙片が私に届くよりも早く、空中で燃やしきり、攻撃を防ぐ。歯噛みして悔しがる、ノストラダムス。
「分からんな。貴様が己の予言に何を思っているか等、俺には何の興味も無い。人類がどうなろうとも、俺にさしたる関係も無い。ただ、俺のマスターへ害を為すと言うのならば、俺は此れを全力で排除する。貴様は、あの蛇以上の攻撃力は出せぬと見た。であれば――――――」
アヴェンジャーは、全てを言い終えないうちに、ノストラダムスへと突進する。ノストラダムスは、ギリギリのところで反応し、紙束を盾のように展開させる。しかし、それはどう見たって悪手だった。