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恩讐の花嫁 【Fate/GO 巌窟王 夢小説】

第3章 憎悪


 言われてみて、ハッとした。つまりは、この地には、怨念や悪意とかいったものが、満ちているという事に他ならない。もしかして、ここに来た時に私が感じた、ゾクゾクしたものの正体は、それだったのだろうか。普通の戦場において、怨念や悪意が満ちた環境というのは、決して好ましいことではない。あまりにも強い怨念や悪意が集中している地では、時として味方にパラメータダウンなどの被害が生じて、戦闘に影響が出てしまうことがある。霊的な存在であるサーヴァントにとって、それが時として致命的な要素になり得るのだ。それに、そういったものの吹き溜まりのようなものができてしまえば、そこからエネミーが次々と湧いて出る……ということにもなりかねないからだ。
 でも、今私の目の前にいるサーヴァントは、“復讐者”のクラスだ。アヴェンジャーにとって、それらの要素は、アドバンテージになり得る。勿論、特定のエネミーが強化されてしまうこともあるため、諸手を上げて喜ぶ……なんてことは、全くできないわけだけれど。それでも、私の貧弱な魔力量が、これで少しは補えるというのは、考えようによっては幸運と言えるだろう。

「共に、この地獄から脱するぞ、マスター!」
「うん……、うん……!!」
 巌窟王/エドモン・ダンテス。かつて、脱獄不可能と言われたシャトー・ディフに、無実の罪によって投獄されたが、鋼鉄の意志でそこから脱獄した男。そんな彼が、サーヴァントとして、共に在ってくれる。未だ、カルデアからの通信は復旧しない。でも、私は、今この瞬間に、光を見出しているのだ。ステンドグラスからは、変わらず鈍い光が落ちてくる。その光を受けて立っているアヴェンジャーは、この世のものとは思えないほどに、綺麗だった。高慢な態度や、戦闘中に見せる恐ろしい振る舞いから忘れられがちだが、アヴェンジャーは美男子だ。今などまさに、ある種の芸術品のような、神聖なものすら感じさせるレベルだと思う。本人が自分をどう認識しているかはさておいて、私から見れば、アヴェンジャーは間違いなく美青年だ。

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