第9章 Happy birthday ~エピローグ~
宴も無事に終わったその次の日の事。
女中さんが麗亞の部屋にやって来た。
女「麗亞様。お届け物をお持ちしました。」
「あ、はいっ!! 有難うございます。」
小箱を受け取ると、早速包みを開けてみる。
中からは寄木細工でできた一つ引き出しのついた箱。蓋を開けるとそこには、鏡が出てきた。
「わぁ・・・素敵。んで・・この引き出しは?」
引き出しをそっと引き出してみる。するとそこには薄緑と白色の混じった翡翠の数珠が出てきた。
「これって・・・。もしかして。」
引き出しの中に入っていた文を広げてみる。
---一日遅くなったが、誕生の祝だ。受け取ってくれると嬉しい。要らなければ打ち捨てるがいい
顕如 -----
「やっぱり・・・顕如さんだ・・・ふふふっ。」
(来年のお誕生日にはぜひ顕如さんも呼んでもらいたいな。)
そう思った麗亞だった。
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玄「またの逢瀬を・・・・」
そうつぶやき安土城に背を向ける信玄達。
謙「つまらん・・・斬り合いも無ければあやつとの逢瀬も出来ず。ほんとにつまらん。佐助・・・。帰ったら、鍛錬に付き合え。」
佐「少し休ませてくださいよ。色々バタバタして大変だったんですから。」
幸「ほんとアンタ達元気ですよね。俺達クタクタですよ。」
愚痴をこぼしつつ。四人は春日山城への帰路へとついた。
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天守から城下を信長は眺めていた。仮初であっても、麗亞の言う「平和」とやらを実感した昨日の宴に思いをはせながら一人ほくそ笑んだ。
長「・・・・ふ・・・悪くない。」
いつ訪れるかわからないがその「平和」が恒久的に訪れる日が来るならきっとその隣には麗亞が居てくれる。
そんな事を一人で考えていた。
長「あやつはやはり幸運を招く。この日ノ本に平和をもたらしてくれるだろう・・・。」
信長のつぶやきは晴れ渡った城下へと風に乗って攫われていった。
「信長様ぁぁ~」
声と共に麗亞がバタバタと走ってくる音が聞こえた。
長「全く朝から騒がしい女子だ・・・。」
大六天魔王と言われた男がふと、笑った瞬間だった・・・・。
~ END ~