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イケメン戦国~捕らわれた心~

第9章 政宗の花嫁


政宗には 家の決めた許嫁がある
その事実を知ったのは
白雪が政宗と離れ
現代で見た 歴史書でだった

歴史上の人物として 誉れ高い
戦国武将は 数えきれないほどの
書籍となって彼の人生を
白雪に教えてくれた

正妻があり 多くの側室を持ち…

それでも側にいたいと思った
分かっていたはずなのに……





今日は親類が 城に来ると
政宗は 朝から気もそぞろだ

悟られまいと している姿が
かえって白雪を 暗い気持ちにさせる

御老中と話しているのを
偶然 耳にはさんだ
城に来るのは 許嫁の姫とその親

(政宗…いつ私に言うんだろう)

(側室になれって言うのかな…
この時代なら 当たり前の事だもんね)

小さく溜め息をつき 部屋を出た
出会い頭に 政宗とぶつかる

「きゃっ」

「おっと…」

「あ……今日は針子部屋にいるね」

「…そうか…すまないな
構ってやれなくて」

「気にしないで 大丈夫だから」

ぎこちない笑顔で離れて行く

(……なんだ 暗い顔して
まさか許嫁の事 勘づいたのか)

白雪の後姿を見送り 溜め息をつく
親類と婚姻の約束を
取り付けた父は もう居ない
反故にしてくれと 訴えるつもりだ

ただ どう切り出せばいいものか…
逡巡していた

策も練り上がらぬまま
時だけが経ち 政宗にとって
招かれざる客がやって来た

客間の襖を前に 一度深く息をする
白雪の顔を思い浮かべ
静かに襖に手を掛けた

「おぉ 政宗 久しいのぉー」

「ご無沙汰しております
長く不在にしておりましたので」

「安土での活躍 聞いているぞ」

「ありがとうございます」

髭を蓄えた 恰幅のよい男の隣で
まだあどけなさの残る 少女が俯く

子供と言っても 言い様な少女を
白雪が見たとき…
それを思うと胸が軋しむ

(早く話を付けるべきだな)

「ときに政宗
そろそろ 落ち着いてはどうか
娘も12になった 早う身を固め
亡き父上を 安心させてはどうだ」

先手を打つように
いきなり 核心に触れられ
思わず身構える

「……その事なのですが」

静かに けれどしっかりとした声で
自らの思いの丈を 言葉にしていく












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