第21章 闇~秘密の寺(淫獣)~
痙攣し咆哮し
涎を垂らす
もはや人とは
思えないその姿に
言い様のない
興奮を覚え
うねうねと
陰茎を呑込み
絡み付く熱に
夢中で腰を打ち付ける
「…ひうぅぁ…ふぐぅぅ」
ずちゅっ…ずちゃっ…ずちゃっ
ぱんっ ぱんっ ぱんっ
「ああぁぁ…おくぅ…でてるうぅ」
金木犀の
胸やけする様な香りと
闇に響く鈴虫の音色の中で
後味の悪い夢を見るように
終りのない快楽を貪った
空が白み始める頃
畳の上で微睡む二人
「あの時
政宗に斬られていた方が
お前は幸せだったのではないか」
肩で揃えられた
お松の髪をぱらぱらと
弄びながら光秀は
思ったままを口に出した
「何故です?
明智様がこの桃源郷に
この松を導いて下さった事
本当に有りがたく思っております」
お松は
普段の光秀がする様に
真意の見えない
笑顔で答えた
「そうか…ならばよい
余計な事を言った…忘れてくれ」
(あぁ…そうだ…
こうして相手の本音を引出し
…己は殺す…これが俺がこの女に
強いた生き方…その術
明慶殿は一月足らずで
ここまで仕込んだのか…)
苦笑いをしながらも
気になっていた事を聞く
「夏野はどうした?」
とろんとした眼を
ギラリと輝かせ
お松は水を得た魚のように
嬉々として語り出す
「明智様もあれを
ご覧になって‼
きっと気に入りますわ」
上ずった声で言うと
眼を見開き血走らせ
身を乗り出して
閉ざされた扉を開く
「…これは?」
部屋の中央に置かれた
六尺程の大きな五角形の箱
上には深紅の絹が掛けられ
中を伺い知ることは出来ない
お松は嬉しそうに
歪な笑顔を広げ
両手で布を引いた
シュルルと
衣擦れの音を響かせて
お松の足元に落ちていく
現れたのは
漆塗の豪奢な鳥籠
しかし鳥の姿はなく
飼われていたのは
かつて光秀の腕に堕ち
その胸で嬌声をあげた女…
籠の床に赤子の様に
丸まって眠っている
痩せた躰を
抱える様に眠る
夏野の脚にお松の
柔らかな指が触れた
「んっ…」
虚ろな眼を向ける夏野に
全身が総毛立つ
朱塗りの格子の向こうで
白い裸体をくねらせて
美しい女が目を覚ます
「…あ…明智様」
「ふふっ…お夏ちゃん…
明智様遊びに来て下さったの」
光秀は息を飲む