第3章 シラユキと白雪
着物は乱れ
胸と太股は露となり
紅潮した肌に
花びらがハラハラと落ちる
頬に張り付きた髪を直そうともせず
恋情の籠った目で政宗を見詰める
その妖艶な様に
全てを奪われそうになる
(っ…なんて…姿だ…
どれだけお前は俺を…狂わせる…)
目もとを染めて
苦しげに食い入るように
白雪を見つめる政宗に向け
細い指が伸ばされる
「政宗…愛してる」
「っ…白雪…」
白雪の指を絡めとり
引き寄せて抱き締めた
「俺の方が…もっとずっと愛してる」
と聴こえない声で
呟く政宗だった
「あ~ぁ…桜まみれだな」
乱れた着衣を整え刀を戻す
白雪の髪を指ですいてやると
ひらひらと花が舞う
「ふふっ政宗もお花付いてる」
「あ?」
ふるふると頭を振り花を落とす
「帰るか…」
まだ二人でいたいが
花冷えから白雪を護る為
部屋へと促す
「…政宗」
顔を赤らめ
俯く白雪
「何だよ?まだ愛され足りないのか?」
口唇をあげて
揶揄うように笑う
「…歩け…ないと…思う…」
真っ赤になって
瞳を潤ませ
俺の袖をぎゅっと掴むと
恥ずかしそうに告げる
目を瞬いて
一瞬あ然とした後
声をたてて笑った
「わっ…笑わないでよっ」
「いや、あんまり可愛くて…ふっ…くくっ」
白雪を横抱きにして
桜吹雪の中を歩く
あまりに可愛らしい
仕草と言葉に
笑いが込み上げてくるが
冷静に考えれば
無理を強いたのは
自分だと気が付く
(かっこ悪…こんな所で
夢中になって…女が動けなくなるまで
追い込むなんて…余裕なさすぎだ…)
突然笑みを消し
真摯な眼差しを
向ける政宗に白雪が気付く
「優しく出来なかった
俺が悪い…ごめんな」
「ふふっ…いいの政宗だから」
ふにゃりと笑い
政宗の胸元に顔を擦り寄せる
(あぁ…くそっ…)
先程の反省をするも
わき上がる新たな熱を
もて余し途方に暮れる政宗を
笑うようにゆらゆらと
桜が揺れては舞っていく