第11章 意地悪な花婿
いそいそと
お茶を差し出す白雪に
政宗がニヤリとして告げる
「そう言えばお前……
自分の名前はどうした?」
「え?」
意味が分からず
政宗の顔を見る
意地悪そうに笑って
懐からくしゃくしゃの紙を出すと
「練習するのはいいが
まずは自分の名前からだろ」
「っ…!」
政宗の手から
紙を取り上げようと
慌てて飛び付くも
ひらりと躱わされ
片腕で抱き留められると
白雪の頭上で
ひらひらと紙を振る
「何で持ってるのっ」
頬を染めて睨みつけるが
残念ながら 効果は無く
「何でだろうなぁ」
にやにやと
いやらしく笑う
そんな政宗に
ご立腹の姫君は
最終手段とばかりに
かぷりと
政宗の首筋に噛み付いた
「こーらっ」
口ではそう怒りながら
政宗は余裕を崩さない
どうにも悔しくなった
白雪は
そのまま唇を
鎖骨へ滑らせると
ピクン と反応した
政宗に嬉しくなる
けれど……すぐ
戦意喪失して
無謀な行動を後悔した
ちょっとからかったつもりが
ムキになって 子猫みたいに
噛み付いてきた白雪
あんまり可愛くてそのまま
反応を楽しんでいると
つぅ…と首筋を
柔かな唇が這い
鎖骨に口付けられた
半身が
ぞくりと疼く
「ふっ…どうするんだ?その先」
「えっ…あっ…あの…」
政宗が挑むように囁けば
とたんに尻込みする白雪
「どうも…しない…」
そう言って身体を離そうと
胸を手の平で押してくる
「ふっ…」
細やかな抵抗を無視して
白雪がしたように
首筋に噛みつく
「あっ…」
「逃がさねぇよ」
低い声を耳に注げば
白雪から残りの力が抜けていく
耳を 首筋を
音をたてて吸いつくと
白雪は自ら唇を求めてきた
「もう陥落か?」
「…んっ……ふっ…降参…する…」
とろん とした白雪の顔に
政宗の熱を溜めた自身が
ドクンと跳ねる
「負け戦を挑むのいいが
相手が悪いな」
「俺は手加減しないぞ」
深く 口付けてやれば
甘く溶けて
政宗に身を委ねてくる
「……っ……あっ……んん」
馴れない武術をこなし
身体はくたくたな筈なのに
子宮の奥が きゅんっと
収縮して 政宗に与えられる
甘美な刺激を望んでしまう
恥ずかしさと快楽に揺れる
白雪の表情は
堪らなく美しくて
政宗は悦に入る