第2章 出会い
まだ人が通った痕跡のない茂みを掻き分け、適当に足を運ぶ。
「……クッソ!痛ってぇ………あの頭突きで、巨人も殺せんじゃねぇか?」
未だにズキズキと痛む箇所を摩り、歩みを進めると、そこには光をいっぱいに浴びて煌めく湖があった。
反射する水面
揺れる草花
戯れる蝶々
[───綺麗だな。]
痛みを忘れる程に美しい景色を見ていたら、カサッと草が擦れたような音がして、弱々しい声が聞こえた。
『………神様?』
その声は、縋るような、儚く、切なげな、そんな声。
まさか誰かがいるなんて思ってもみねぇから、反射的に肩を揺らし、声のする方をみると、そこには見慣れない服を着た女がいた。
サラサラの長い髪は太陽を浴びてキラキラと反射し、そよ風にフワリとなびく。
形のいい唇と切なそうに遠くを見るような大きな瞳。
まるで……
まるでこの景色と一体化したような姿は、とても煌めいていて……
息を飲むほどに綺麗だった。