第30章 年下のオトコノコ♪
智と一緒に狭い風呂に入る。
「ねぇ翔ちゃん、俺ここに住んじゃ駄目?」
俺の脚の間に智を入れ、なんとかふたりでギリギリ入れるアパートの小さな浴槽。
「まだ言ってる」
「だってぇ、翔ちゃんとずっと一緒に居たいんだもん」
俺は智の髪の毛を弄りながら答えた。
「あのな?何度も言うけどお前まだ未成年だろ?大学の学費だって親に出して貰ってるんだぞ?」
「そんなのわかってるよ…でも、大学生だって独り暮らししてる人いるし」
「それは大学が遠いから仕方なく…」
「ぶぅ~、だったら遠くの大学行く」
「そしたら俺とも離れることになるだろうが」
「それはヤだ…」
「もう少しだけ待てよ」
「もう少しっていつ?」
「二十歳越えるまで」
「そしたらここに住んでいい?」
「ここは駄目」
「なんでぇ?」
「風呂が狭いから」
「どういうこと?」
「智が二十歳になったらもう少し広い部屋借りるから、そしたら俺のとこに来い。
その時は改めてご両親のところに挨拶に行くから」
狭い浴槽の中で体の向きを反転させる智。
「ほんとにっ⁉いいのっ⁉」
「お前がずっと言ってたんだろ?なんで今更驚くんだよ」
「だって広い部屋借りるなんて…」
「毎日ふたりで寝るならもっと大きなベッド欲しいだろ?」
「しょぉちゃ…」
智の目から涙が溢れた。その涙を指で拭ってやる。
「ふっ、やっぱ子供だな…」
「子供だっていいもんっ、あと1年我慢すれば翔ちゃんとずっと一緒にいられるんでしょ?」
「うん」
「それまでに大人になるから…だから待っててね、翔ちゃん」
「慌てなくていいよ…嫌でも大人になるんだから…」
「でも翔ちゃん子供だって…」
「子供が悪いなんて言ってないだろ?俺は智を愛してるんだから」
「翔ちゃん…俺も…おじさんの翔ちゃんを愛してる」
「おじさんは余計だよ…」
「いいのぉ!俺はおじさんでもおじいさんでも翔ちゃんの事を愛してるんだからっ」
抱きついてきた智をギュッと抱きしめた。
「智…離さないからな?覚悟しとけよ?」
「ふふっ、離さないのは俺の方だよ」
わかってるよ…年下の男の子に身も心も捕まったのは俺だって…
これから先の人生もお前から逃れられなくなったのは俺…
甘いモノ好きなスイーツ男子は本人さえも甘い蜜で俺を虜にする。
End