第21章 What is your dream ? #4
《Sho's time》
俺と智くんが出逢ったのは高校に入学してすぐ。
県内屈指の進学校…中学まではサッカー部に所属してたけど一流大学への進学を考えてた俺は高校では部活に入るつもりはなく、部活動見学が始まってもどこの部活も見る気はなかった。
ある日の放課後、図書室で自習をしていると隣の校舎の屋上にチラチラと人影が見えた。
ただ見えただけなら気にならなかったんだろうけどあまりにもリズミカルに見える影…開いていた教科書とノートを鞄にしまい何かに誘われるようにふらふらと屋上へ続く階段を昇っていった。
外へ出る扉に近づくと僅かに音楽が聴こえてきた。
ドアを開け目に飛び込んできたのは重力を感じさせずに動く人。
ダンス?ひとりでこんなところで?
その人から目が離せず見入っていた。音楽が終わったことにも気付かずボーッとしているとその人物がこちらを向き目が合った。
慌ててなんて声を掛けようか考える。
『踊り上手いね』それとも『勝手に見てごめんなさい』?答えが出せずにいると、その人がこちらに向かって歩いて来た。
さっきまでの動きとはまるで別人のような歩き方…とぼとぼと歩くその姿に驚いた。
余りのギャップに気を取られ結局なんの言葉も掛けられずにいると、俺の前で立ち止まったその人はいきなり『一緒に踊る?』って聞いてきたんだ。
突然の誘いに吃驚したけどナゼか嬉しくて『うん!踊る』って答えてた。
それが智くんと俺の初めての出逢い。
部活に入らず勉強に集中するつもりでいたのに、それから毎日俺は放課後になると智くんと一緒に踊ってた。
智くんといると楽しくて、毎日放課後が待ち遠しかった…俺が智くんに恋してると気付いたのは高校に入って初めての夏休みを迎えた時だった。