第2章 プロローグ
次の瞬間。
俺の意識は、視界は、思考は。
全て何かに呑み込まれ、落ちていく。
その感覚はライムに強制参加させられた“あの時”と似ていて、現実とは違う別次元に引きずり込まれるようだった。
「ここは…?」
ハッと意識を取り戻した時には、今さっきまでいた景色とは別の光景が広がっていた。
だが、見覚えはある。
ここは――
『えーリブトか、イマドキだっサイし』
『ライムのホウがタノシイよナ』
そこへ突如割って入ってくるたくさんの人の声、声、声。
洪水のように耳の穴から入り込んで、俺の思考まで掻き回す。
なんなんだ……一体……?
この時の俺はまだ知らなかったんだ。
“ココ”がミズキの頭の中で、アイツがどんな悩みや不安を抱えていたのか。
……気づいてやれなくてゴメンな、ミズキ。