第2章 プロローグ
「まさかここまで嗅ぎつけてくるとはな。さすが蒼葉ってとこか」
「ミズキ……お前、なんで……婆ちゃんは……」
黒フードを剥いだ中から出てきたその顔に驚く。
顔や声を聞いても、ミズキに間違いないと思う。
しかし、俺の知っているミズキとは明らかに何かが違う。
お前は……誰なんだ?
まるで別人のように振る舞うミズキを見て、俺の頭の中は混乱していた。
そこへ更に追い討ちを掛けるようにして、婆ちゃんを腕に捕らえたミズキは不気味に光るナイフを取り出す。
それを婆ちゃんの首元に当て――
「――…っ!!」
気が付いた時には俺は、ミズキの懐へ飛び込むように走り出していた。