第7章 終・嘘つきとさよなら
\眼鏡の奥/
部屋で一人、ふぅっと布で拭いていた眼鏡に息を吹きかける一希
《それ、そんなにも大切?》
一希の頭の中に声が聞こえた
一希「…水暴」
《それって度、入ってないんでしょ? ただの飾りの眼鏡》
一希「うん、度の入ってないただの眼鏡…。 でも、俺の大切な物だよ♪」
《簡単に潰れて壊れちゃうそんな物が、大切な物だなんて変なの》
水暴の言葉を聞いて一希はグッと唇を噛んだ
一希「…元々何もなかった"僕"はコレを貰って"俺"になったんだ…」
《そうだったね、一希には何もなかったね》
一希「だから俺にとってはとっても大切なんだよ」
《そう、興味ないけどね》
その言葉を最後に水暴の声は聞こえなくなった
一希は綺麗にした伊達の眼鏡をかけた
一希「…俺も仲間以外に興味ないよ…
ましてや"俺"になんて…」