第6章 *理想の世界と現実の世界* 完結
雫の言葉を聞いてその子は目を見開いた
「雫姉さん…、僕を忘れちゃったの…?」
雫「…ごめんなさい…」
雫はただ首を横に振る事しか出来なかった
「姉…さん…」
その子の瞳は、まさに"絶望""悲しみ"に落ちた瞳に変わっていた
炎輪「…記憶喪失というやつか…」
炎輪は顎に手を当てながら目で兵に連れてけと指示した。 兵は一礼してその子を連れ去った
雫「私、本当に何も分からなくて…!」
炎輪「…実の弟にあんな顔をさせたんだ、嘘はついてないだろうね」
炎輪は二つのイヤリングを雫に返した
炎輪「…ならばこうしよう」
雫「え…?」
炎輪「君には記憶を取り戻してもらおう」
雫「私の…記憶…」
炎輪「君が…昔の君が、私の娘を連れ去ったわけではないのなら、君を自由にしよう」
雫はイヤリングを両耳につけながら話を聞いた
雫「…では、もし私が連れ去ったのが事実なら…?」
炎輪「その身をもって償ってもらおうじゃないか」
雫「…私が嘘をついたりしたらどうするおつもりで…?」
雫は俯きながら問いかけた