第9章 通じ合う
部屋へ戻ると、既にお昼をまわっていた。
そろそろ璧外へ出て巨人と戦っている時間だろう。
ここで私がそわそわしてもどうこうできるわけではない。
私はエルヴィンさんから借りた本を読むことにした。
_________
ああああああだめだ、こういう時にこういう本は呼んじゃダメだあああ
私が読んだ本は1人の女の子が帰ってこない男の子のことをずっと待っているという話だった。女の子を私、男の子をエルヴィンさんと重ねてしまい、女の子に感情移入している。
『生きているのか死んでいるのかわからない、だけど、私には帰ってくるという確信だけはあった。例えそれがどんな姿でも_____かぁ………』
ただ会いたい。一目でもいいから会ってそのままキスしたい………と文章は続いている。
まさに今の私じゃん………
キスしたい、とは言わないけど、ただエルヴィンさんの笑顔だけが見たかった。
『もう7時か………』
再び赤くなった目を擦り、私はお風呂へ向かう。