第8章 距離感
『エルヴィン副分隊長!!!』
ノックもせずにドアを開くとエルヴィンさんは驚いた表情を浮かべれば器質的な表情に戻る。
『………入る時はノックくらいしなさい』
『どうして言ってくれなかったんですか』
『話を聞きなさい』
『私が足でまといになるからですか?』
『………俺は忙しいんだ』
『副分隊長!!私は_____』
パシン、と部屋に乾いた音が響いた。
頬にはピリッとした痛みが走る。
『聞き分けのない子は壁外調査にはいらないよ、足でまといになるだけだ。大人しくしていなさい』
頬に走る痛さのせいなのか。
それとも言われた言葉の厳しさのせいなのか
目の前がぼやけてきて熱いものがこみ上げる。
『…………泣くくらいなら自分の部屋で泣きなさい』
エルヴィンさんはほんの一瞬だけ驚いた表情を浮かべると椅子に座り向こうを向いてしまう。
『………っ、ごめ、なさい………』
私はそのまま部屋へと走り込んだ。
私…………ばかだ、
壁外調査のことを知らせてくれなかった理由なんてわかってるはずなのに
いざ、エルヴィンさんに言われると
涙が溢れてくる。
どうしてエルヴィンさんに迷惑かけることばかりしてしまうんだろう。
どうして調査兵になったのに壁外調査に行けないんだろう。
この怪我のせいだ
ぜんぶぜんぶ、
『わたしの、せいだ………』