第4章 上司と部下
『』
『………』
『…………!!』
『起きてくれ…………!!』
目を開けると目の前はぼんやりとしていたが、医薬品の香りがプーンとして、すぐに医務室だと気づいた。
今、私はどうなっているんだろうか…………たしかあの時…………
『アン………気づいたようだな』
私の手を握りそばにいてくれたのはまぎれもなく、エルヴィン副分隊長だった
『っ!!』
慌てて手を離そうと思ったが、逃すまいと手をきつく握られる。
『…………どうして俺のことを避けるんだい………?』
やはり、バレてしまっていたか。
『……………申し訳ございません、それは言えません。』
『…………そうかい、少し寂しいなとおもってね。』
正直、
私も寂しい。
けど……………
『肋骨を何本か折った以外は怪我はなかったよ。まったく、心配したよ。やけに訓練所が騒がしいと思って見に行ったら君が倒れていたのを見てね。』
その時の様子をほかの人に聞いたら、私と、アンカーが外れてバランスが外れた子が衝突したらしい。その子は木に1回落ちてから地面に落ちたので比較的軽傷だったらしい。私はそのまま地面に真っ逆さまに落ちたとのこと。
『誰も運ぼうとしたかったから私が運んだが…………少しでも君を早くここに運ぼうとしていたのかすごく顔が恐ろしかったと他の兵士に言われたよ』
目を細めて笑っていたが、私は副分隊長の言葉に気を取られていた。
『え、あの、その、もしかして……………副分隊長が…………?』
『?と言ったはずだが』
『……………ふふ、顔が赤くなってきた』
優しく頬に触れてくる。とても大きくて長くて、綺麗な指に神経が注がれる。
みんなの前で私のこと抱えたってこと…………!?
そ、そりゃあ怪我人は早く運ばないとダメだと思うけど………でも………わざわざ副分隊長が来てそんなことするってよく思う女の子はいないんじゃないか………?
『とりあえず君はしばらく安静に。完治するまで少々かかるみたいだ。それに…………』
言いずらそうに私の方を向く。
『完治しても立体機動が出来るかどうかはまだわからない、みたいなんだ』