第1章 出会い
『アン起きな、時間だよ』
ガヤガヤとしていてとても香水臭い。ぼーっと目を開けると女達がやけに大人びた化粧をして慌ただしく服を着替えていた。
_____さっきまで見ていたのは何の夢……だったっけ。
私はしばしば悪夢を見る。内容は覚えていないが、毎回同じだということは覚えている。悪夢なのだから思い出そうとも思わない。いや、思い出したくないだけだ。
私は目を擦りながら掛け布団をはがし起き上がる。今は夕方なのだろう、夕日で部屋が照らされている。
身支度を整え、私も彼女らほどではないが薄い化粧をする。眉を整えたり赤い口紅を薄く塗る程度。私はこの中で一番の年下。年齢を言うと9歳。
……………よく言われる、ガキらしくない喋り方だと。だけどそれは仕方がない。実年齢のままでいれば私は生活ができない。
ここは私達がお金を払ってくれた男の人にサービスをする場所。いわば娼婦。
私はここで生まれ、ここで働かせてもらっているのだ。