第18章 壁外調査
その日から数日後。
私は医務室から出れることになった。(先生は寂しがってたけど。)
私の部屋に入るとミケさんが運んでくれた荷物は綺麗にしまわれていた。ドアにはしっかり鍵が付けられており、防犯対策もばっちりだった。
普通の隊士なのにこんないい部屋、いいんだろうか......。
ぼふんとベッドに座る。
.........あ。忘れ物しちゃった。
いつも持っていたポーチをおそらく医務室の枕元に置き忘れていることに気づき、私は部屋から出た。
『っ、』
『あ...』
数週間ぶりの再会だった。
少しやつれている......?忙しいのかな。
分隊長は私のことを見ると目を合わせないように早歩きでその場を去ろうとする。
『っあの.........』
私が引き止めるまでは。
『......なんだ』
『......お疲れ様です、エル......いえ、分隊長。』
『......ああ。体調はどうだい』
『今日から自室に移れました。明日から少しずつ隊に入ります』
『......そうか。』
ふっと笑みを浮かべたように見えたのはおそらく私の気の所為。
『用がないなら失礼するよ』
そう言い分隊長は私の横を通り過ぎる。彼の香水の香りが鼻をくすぐる。懐かしい香りだ。
その懐かしい香りがつらく、私はそのまま医務室へ走り出した。