第11章 変化
『失礼します!』
服を整えてドアをノックし開くと椅子に座ったエルヴィンさんがその位置から見える。
『早かったね』
ふふ、と笑うと私に手招きをする。
『初めてのお仕事ですから!で、今日は何をすればよろしいでしょうか!』
『ああ、そうだった。この前重ねてくれたこの本を本箱に戻してほしいのと、この書類を分けてほしいんだ。』
この書類はここ、これはここ、これは処分してもらって構わない、と詳しく説明してもらったので私にも理解ができた。
『わかりました!』
『終わったら声をかけてくれ、次の仕事を教えるからね。』
エルヴィンさんはそう言うと自分の仕事に取り掛かる。ものすごい量の書類だな……大変そう。
私は積まれた本を取り表紙が続いているもの、巻数、ジャンルなどを見て本箱に本を入れていく。
『なにか気に入ったものがあれば持っていきなさい』
『えっ、いいんですか?ありがとうございます』
『君は本当に本が好きなんだね。』
『はい。本の中だと私はいろんな人になれますから』
主人公が画家なら私も画家に。お医者さんなら私もお医者さん。主人公の気持ちになって読み進めることが本の楽しさ。