第13章 福沢諭吉/うちの社長が最高すぎる件。
男達の手が無遠慮に服の中に。
シャツの中、スカートの中…
「やぁ…っやめて下さい…っ!!」
「イイねぇ、最高だよ」
「ホラっ、ビデオ回せよ」
「なぁ、服いらなくね? さっさと脱がそうぜ」
「いや…っ!!!」
こんな時に全く役に立たない自分の異能力を呪っていたら
ドカーン!!!っと景気の良い音を立てて壁に穴が開いた。
何が起きたか分からず全員がポカーンっとしていると
何とも呑気な声が聞こえて来た。
「わぁぁぁ、流石は乱歩さんですね! 本当にいましたよ社長♪」
とても聞き覚えがある声から”社長”という単語が出て
ドキっと心臓が高鳴った。
「なっ…何者だてめぇ!!!」
威嚇の声も、向けられる銃口にも全く怯む事なく
美しい銀髪を揺らしながら静かに歩み寄ってくる和装の麗人。
「何とか言ったらどうだ!!ああん!?」
「…」
「…ひっ!?」
その眼光は鋭く、睨まれただけで立ちすくむ。
我らが探偵社の社長-福沢諭吉。
「無事か、聖子」
「は…はいっ!!」
「てめぇ…たった二人で俺らを相手にするつもりじゃねぇだろうな…」
何処からか、わらわらと仲間が増えていつの間にやら
武装した男たちが囲むように銃口を向けていた。
「二人? ふ…貴様らなど一人で十分だ」
「何だとコラァ、やっちまえ!!」
一瞬だった。
銃口が火を噴く前に、終わっていた。
「大丈夫ですか聖子さん?」
「はい、大丈夫です賢治くん。…あの、社長…怒って、ますか…?」
「えぇ、とっても怒ってました♪」
やっぱりか…
と絶望的な表情の私とは正反対に、賢治くんはニコニコな笑顔で
「聖子さんをかどわかした奴を許さん!!って怒っていたのと…あと、聖子さんを守れなかった自分が不甲斐ないって怒ってました♪」
「え…」
「そこまでだ」
見事悪そうな連中を一掃した社長が、咳払いを一つして話を中断させた。
「わぁぁぁ、あっという間でしたね!!」
「あぁ。国木田に報告を…」
「はぁい! 行って来ます!!」
話しの途中で賢治くんは元気よく去って行きました。
突然訪れたこの沈黙がとても緊張します…。