第12章 芥川龍之介/ Trick or …
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首領に呼ばれ、執務室へ向かう。
途中、何故か可笑しな格好をした輩を何人か見掛けたが、一体何だったのだろうか。
よもや、此度の首領の招集に何か関係が…。
一抹の不安を覚えつつ、重厚な扉を開けた。
「はろうぃん…???」
首領から放たれた聞き覚えの無い言葉。
「おや? 芥川君は知らないのかい? ハロウィン」
「申し訳ございません首領…。その、はろうぃん、というのは…」
「そっか~知らなかったか~♪ ハロウィンというのはね、とても楽しい催し物でね」
「催し物…」
「ってことで、ウチ(マフィア)でもやりたいな~って思って♪ ま、そんなとこだから、キミも早く着替えるといい」
「着替え…?」
先程の可笑しな格好の連中を思い出す。
まさか…
「尾崎くん、彼も宜しくお願いするよ」
「仕方無いのぅ。どれ、こっちに来なんし♪」
「あ…いえ…僕は…」
「芥川」
物陰から中也さんが現れた。
いつもと違う格好で、頭には悪魔のような角?が付いており、お尻からしっぽ?の様な物が生え、手には三つ又になった大きな槍?フォーク?のような物を持っていた。
「首領の命令は…絶対だ…」
「どうじゃ、中也も可愛くなったじゃろ?」
笑顔の紅葉さんと、まるで敗残兵のような表情の中也さんを見て察した。
僕に…逃げ場はないようだ…
「わぁぁぁぁ!りゅーのすけ似合う!!カッコいい!!」
まるで魔女のような恰好をしたエリス嬢にお褒め頂いた。
カボチャのような物入れにたくさん菓子を詰めている。
「りゅーのすけ!! とりっくおあとりーと☆彡」
「とりっくおあとりーと…?」
「あぁ。ハロウィン限定の魔法の言葉だよ」
「魔法の…言葉…」
首領が教えてくれた。
その言葉を云われて、お菓子をあげないと…悪戯されてしまうらしい。
「みてみて♪ お菓子をこんなにたくさん貰ったのよ♪ でも悪戯出来ないのはちょっとツマンナイわ」
「え!エリスちゃん悪戯したかったの!?じゃあお菓子をあげるのを涙を呑んでやめるからしていいよ!!」
「リンタロウ気持ち悪い。」
この二人の場合はハロウィン関係なく年中こんな感じな気がする…。
と云うのは僕の心の中に秘めておこう。
「こ…こほん。取り敢えず、みんな今日1日はこの格好のまま過ごすこと!」