第6章 森鴎外/学術的興味
「キミ、男性の経験は?」
「セクハラで訴えますよ」
「この状況でそんな風に言えるなんてさすがだね」
まるで観察するように、じっくりと身体を見られている。
服を切り裂かれたせいで色んな箇所から肌を露出するのが下着姿になるよりも恥ずかしい。
けれどそれがバレないよう、努めて冷静になることに神経を集中させた。
「傷…随分と多いね? 折角の綺麗な肌なのに勿体無い…」
「貴方のように興味本位で実験と称し傷付けてくる輩が多いもので。」
「ちゃんと病院へ行って治療しなかったね?」
「別に死んでもいいって思ってたから」
「…そう、か。」
なんでそんなに辛そうな顔をしてくれるの?
私には理解出来なかった。
ふんわり髪を撫でられて、軽くついばむようなキスを1つ。
「さぁ、実験を開始しようか」
その顔は辛そうな顔から一転。
まるで玩具を与えられた子供のような
ひどく愉しそうな顔をしていた。
切り裂いた場所から手を滑り込ませ、まずは胸の膨らみを撫で回される。
今まで感じた事のないゾクゾクっとした感覚が走った。
「ふぅん。どうやら初めて、みたいだね?」
表情を観察してくる彼の眼を見ていられなくて顔を逸らすが、すぐに片手で向き直させられる。
彼の視線。
どこか恐怖を感じずにはいられなかった。
「…っ!!?」
撫で回す手が先端を掠めると
無意識に身体が跳ねた。
「ふふ、キミもココがいいみたいだね?」
「あっ…何、これ…!!?」
「これが気持ちいいっていう感覚だよ。人間なら誰しも持っている感覚だ、恥ずべき事じゃない。我慢せずに、もっと声、出してごらん?」
「ふぇ…!??」
耳元で囁かれ変な声が出る。
違う。こんな声私のものなんかじゃない。
こんな声は知らない…!
「どれどれ? キミはどんな味がするのか…味見してもいいかな??」
「味、見…??」
何の話をしているのか理解出来なかったが
彼は少し屈み、胸へと吸い付いてきた。
「あっ、あぁぁ!!?///」
「そう、そうやって感じたまま…素直に鳴いてごらん?」
「ああっ、あっ、あぁん///」
れろ…ちゅ、ちゅぱ…じゅるっ、じゅ…
彼が舌を動かす度にゾクゾクして身体が跳ねる。
跳ねる度にじゃらじゃらと音を立てる鎖も
私の変な声も
もう何もかもが煩い。