第1章 江戸川乱歩/名探偵の独占欲
「何してるの?」
声のするほうへ反射的に振り向けば
お風呂上がりの乱歩さんが佇んでいた。
「あ、乱歩くん、新作の推理小説が出来たである!」
嬉しそうなポオさんとは対照的に乱歩さんは随分と機嫌が悪そうで。
「ふーん。後で読むからキミ、帰っていいよ」
と素っ気なく返事をした。
「ら…乱歩さん、せっかく来て下さったのに…」
「うるさいな!キミは黙ってて!!」
ピシャリと言われてしまい、言葉が続かなくなる。
そんな私を気遣って、ポオさんは優しく微笑んでくれた。
「大丈夫である。また出直せばいいだけである。」
そう言って、お邪魔しましたと頭を下げてポオさんは部屋を出て行った。
ーなんでボクが機嫌が悪いのか、本当に見当も付かないって表情してる
不安げに見上げてくる彼女は
純粋で無垢で純白だ。
全部、全部。
汚してしまいたくなるー
黒い感情に支配されたボクは
いつの間にか彼女を組み敷いてしまっていた。