第5章 中島敦/初キス大作戦
『この流れから察するに、絶対何かあります!だから聖子さんは絶っっっ対!ここから動かないで下さいね!!?』
『え、でも…』
『ダメです! 僕が出ますから!!』
そう言って敦は一人で玄関に向かい、扉を開けた。
『………!?』
『え、あ、芥川!!?』
『貴様…何故中也さんの家にいる!?』
『いや、色々あって…。っていうか、お前こそ何しに来たんだよ!?』
『知れた事。僕は中也さんに呼ばれて参上したまでの事…』
『それ…本当に中也さんからなのか…?』
「おい、俺は呼んでねぇぞ」
「中也のケータイを拝借してメールを出しておいたんだよ♪」
「てめぇいつの間に!!?」
新旧双黒がそれぞれ言い争っている。
聖子は恐る恐る玄関を覗いた。
『敦君…?』
『あっ、聖子さんこっちに来たらダメですってば!』
『貴様…何奴!?』
『お前には関係ないだろ!』
『もしかして、敦君のお友達??』
『『違う!!』』
『わ、息ピッタリだね♪』
笑顔でこちらに来ようとする彼女を必死に止める敦。
その様子を見て、芥川は何かを察したようにククッと喉を鳴らした。
『成程…。どうやらその女は人虎にとって余程大切らしい…』
『…だったら、何だよ?』
『ふん…。利用し甲斐があるというもの…』
『聖子さんには指一本触れさせない…! 僕が絶対守り抜いてやる…!!』
『敦君…///』
「ふふ、言うねー、敦君も♪」
「聞いてる方が恥ずかしいっつーの」
「面白いのが見れたから彼はもういーや。さっさとお帰り願おう」
「マジで最低だなお前…。……って、またてめぇ俺のケータイを!!」
太宰がささっと何かを打って送信すると
芥川は血相を変えてすぐにその場を去った。
一体何て送信したんだよ…
これで暫くは落ち着くか?と思ったが
芥川と入れ違いに、見覚えのある男がやって来た。
「………げっ」
「あいつは確か…」
『敦、太宰はここにいるか?』
『いえ、姿は見てないですけど…完全にこの部屋の何処かにいると思います。』
『あの唐変木…!! どこをほっつき歩いているのだこの忙しい時に!! アイツのせいでまた俺の完璧なスケジュールが!!!』
スケジュールの鬼、国木田独歩降臨。