第1章 はじまり
あたしは、有名大学Aに通っている
成績は優秀な方、次席。
奨学金をもらう為には首席じゃないと意味がない。
あと一歩の所を邪魔しているやつがいる。
そう。
憎き青田淳。
あいつがいる限り首席は現実問題、厳しい。
やっぱりここは休学して、あいつが卒業するのを待つのが賢明か…。
「はぁ…また休学するだなんていったらお母さん怒るだろうなぁ…」
我が家は控えめに言って裕福ではない。
お父さんの会社はうまくいってないみたいで倒産寸前、お母さんが昔やっていた、
パン屋さんを出店してぎりぎりやっていけている。
けどこのままあたしの学費を払い続けることは厳しい。
「帰ったらお母さんに話そう…」
うぅ、今から胃が痛い
「~~!」
ガバッ
「わっ!!なっなに!?」
急に後ろから抱きつかれ、驚きを隠せぬまま後ろを振り返る
「!あんたさっきの講義中ぼーっとしてたでしょ!」
「聡美~~脅かさないでよ~」
あたしの心臓を止めようとしたのは聡美だった
聡美は大学に入って一番最初にできた友達。今では大親友だ。
「私は何回も呼んだわよ!!あんたが一人でぼそぼそ言ってって気づかなかったんじゃないの」
「ホント?それはごめん」
考え事をするとつい口に出てしまう。悪い癖だ。
「まったくよ、私を無視するなんて」
「ごめんごめんって、ねぇ…そろそろ背中から降りて、重い…」
「なっ!失礼な!」
ペしぺし背中をたたきながらも素直に降りる聡美