第5章 小さい君 ※
side.煌
久々に予定のない休日
もうすぐカラ松をこの家に迎えることになっているから、一人きりの時間もそうなくなるだろう
しかし、やらなくてはいけないことはほとんどない
買ったけど読んでいない小説でも読むか
そう思いソファから立ち上がった刹那
コンコン
どこからともなくノック音がした
うち、か?どこかの生活音か?
我が家だという確信が持てず、玄関を覗こうか迷っていたら
?「煌~、開けてくれ」
子どもの様な少し高い声と、戸を叩く音が響いた
子ども?俺に子どもの知り合いなんていない
訝しんで玄関へ向かい、そっと開いた
「・・・」
目の前に人影はない
?「こっちだ」
足元から声がする・・・嫌な予感
ゆっくり視線を下げると、そこにはニカッと笑う『カラ松のような』子どもがいた
短パンに青い半袖パーカー、靴下・・・小学生?
つか、俺の知ってるカラ松じゃない
親戚?にしては似すぎている
「・・・人違いです」
考えるのが面倒になって、戸を閉めようとしたが
?「おれだ!カラ松だ!」
その一言に阻まれたのだった
取り敢えず室内へ移動する
俺がソファに座ると、カラ松が隣に座った
だが、足が着かないようでプラプラしている
「で、どういう状況なわけ」
カ「えっと、十四松の知り合いに発明家がいるんだが・・・」
事の顛末を聞くに、その発明家からなにやら薬をもらって帰ってきた十四松
居間へ入ると同時につんのめり、薬が手からすっぽ抜けた
その先にいたのがカラ松
運悪く薬を被り、今の状況ができた、と
つか、なんだよ発明家って
怪しいだろ
十四松の奴、何でそんな知り合いがいるんだ
なにより・・・どうしてこいつはそんなにタイミングが悪いんだ
変な薬がすっぽ抜けて被る、小さくなる、なんて漫画みたいなこと起きるなんて
「はぁ・・・」
思わず漏れる溜息
「それ、いつ直るの」
カ「博士が、そんなに被ってないからすぐ戻ると思うって」
「ならいいけど」
返事を聞いてドサッと背凭れに体を預ける
安心した
しばらくこのままとか言われたら無理だな
カ「怒ってるか?」
胸の前で両手で拳を握り、潤んだ瞳に上目使い
俺の理性を試してるとしか思えない
「怒ってはないけど・・・」
顎に手を添え、顔を近付ける