第3章 潜入編
私は黒い修道服のような制服に腕を通す。
鎖骨辺りまでY字型に白いブラウス、あとは黒いベロア生地で出来ているのだが、腰でギュッとコルセットのように締められていて苦しい。
男性は真っ黒いジャケットの下に金の縁の入ったベストを着る。祭司の際は男女とも黒いマントを着用だそうだ。
「二人とも、サマになってますよ!マットも似合うけど…誰?」
ほんとに二人とも似合っていた。でも、マットがマットじゃなかったww
「俺の個性が消えてしまうから…せめて、せめてゴーグルはしたい!」
と必死で訴えていたけども、メロに奪われていた。
「駄目にきまってるだろ。目立ちたくないんだ」
「メロの顔の傷が一番目立つよ!」
たしかに。
メロも思うところがあったのか、黒い眼帯をしていた。
「なんでメロの眼帯はよくて、俺のゴーグルは駄目なんだよ!」
と、マットがなぞの反抗をしていたが、メロから強烈な蹴りを食らって黙った(手加減なし)。伊達メガネで妥協。
メロ、眼帯したらラスボス感が出てて、怖さ3割増しくらいになっていた。
(眼帯とかなくても、二人はけっこう目立つよ~オーラがなんか違うもの…)
着く前からすでに不安になってしまう私なのであった。
こうして船はシャンリオに到着した。
降りる際、周りを見渡せば乗客はみんな同じ制服を着ていた。
船着場は黒一色で、異様な雰囲気だった。
「こんなに、入信希望の方がいるんですね…」
おそるべし『キラ』効果。
毎日毎日世界放送が流されているし、影響される人がいてもおかしくないと思っていたけれど、思っていた以上だった。
港近くにはこれといった観光名所もなく、地味でこじんまりとした教会がいくつかある程度だった。
ただ島の人々の崇拝っぷりは尋常じゃなくて、どこのお店にも必ず巨大なドミニッチ(教皇)の肖像があった。