第2章 逃走編
「メロ、撃たれたってマジか!?」
次の日、病院から出ると、目の前には大量のチョコレートを抱えたマットが真っ赤なスポーツカーの前で待っていた。
「あれ?マット。なんでここにいるの?」
「ああ、三国会の王さんだっけ?
あの人が部下連れてきて、発信機持って俺の変わりに逃げてくれてるから、こっちにこれたんだけど…
けっこうマジでやばかった。ニアの奴が検問あちこちに張るから何回車変えたことか」
ああ、結局協力することで合意したんだ。
あのあと、いろいろ二人で話してたけども、メロは昨日返事をしなかったから知らなかった。
「じゃあ、今日からついに三人で潜入捜査ですね」
あの黒い制服の役目がついにやってきた。
「あのダサいの着るの?メロはいつも黒着てるからそんなに変わらないけど、俺けっこう抵抗あるな…」
「お前は俺の好みにケチをつけたいのか?」
「いや、そういう意味じゃないって」
マットが加わって微妙に緊張感がなくなった。
でも、私はこの緊張感が、すっごく胃が痛かったから本当にうれしい。メロのことが嫌いなわけじゃないけど、なんとなく無言の圧力を感じるんだもの!
「じゃあ、教会に潜入して、『キラ』をあぶりだしましょう!」
と、私が気合を入れて手を上げると、
「…おー」
と、小さくマットが反応してくれた。