Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第17章 恋のまじないABC♡
僕の視線はいつだって、ただ一人の背中を追っている。
それは、彼に初めて出会った時から、ずっと変わらない。
でも僕には彼に声をかける勇気なんてないから、ずっと背中を見てるだけ。
それだけで良かった。
でもね、気づいたんだ…
グズグズしてたら、彼は他の人の物になっちゃうかも、って…
だって彼はモテるから…
僕とは違って、人気者だし、それになんて言ったってイケメンだし?
皆がほっとくわけないよね?
だから僕は決めたんだ。
彼に声をかけてみよう、って…
「あ、あの…、櫻井君、だよね、1組の…」
廊下ですれ違った時、僕は思い切って声をかけた。
凄く緊張したよ…
心臓が口から飛び出るんじゃ無いか、ってぐらいに緊張した。
なのに…
キーンコーンカーンコーン…
櫻井君から答えが返ってくる前に、チャイムの音が僕達の邪魔をした。
正確には、“僕の”だけどね?
せっかく櫻井君と言葉を交わすチャンスだったのに…
チャイムのバカヤロー!
僕の勇気を返してくれ!
って、心の中で何度も繰り返した。
そう…
繰り返しただけ…
僕には、もう一度声をかけるなんて勇気、もうないから…