第81章 今は無理でも…

当たり前に肩を寄せ合って
当たり前に言葉を交わし合って
当たり前に手を握って
当たり前に抱き合って…

キスをして…

そんな当たり前だった日常が、いつの頃からか当たり前ではなくなった。

五人で会うことはおろか、二人で過ごす時間すら今はない。

元々一人でいることに対して何の不自由も、ましてや一人が寂しいなんて思ったこともない僕も、さすがに今のこの状況は、多少の息苦しさを感じずにはいられない。

ほんの一分でも…、ううん数秒だって構わない、抱きしめてくれたら、もしかしたらこの息苦しさが解消されるかもしれないのに…

そんな贅沢な我儘とも言える願いを口にした直後だった。

直接僕宛てに来たメールに、僕の目の前が真っ暗になった。

どうして…？
どうして翔くんが…？

そりゃ僕に比べたら、個人での仕事も多いし、人と接する機会だって多いのは分かってるけど、でもどうして…？

頭の中は凄く混乱してるのに、何も考えられなくて…

結局その時は返事を返すことも出来なかった。

その後、メンバーのグループLINEに翔くん自信がメッセージを寄越してたけど、その時も僕はどう返事をしたら良いのか分からずに…

松潤やニノが翔くんを気遣うような返信を送る中、僕はたった一言…、いや二言か…を返すのが精一杯だった。

｢考えすぎないでね｣

頭の良い翔くんは、いつだって余計なことばっかり考えすぎてしまう癖があるから…

｢大丈夫！｣

人一倍心配性な翔くだから、きっと人一倍不安に感じてる筈だから…

心では思っていても、言葉にするのは中々難しいってことを、僕はその時に感じた。